No.26 サインは絵の中の色で

私が高校生の頃だったと思うけど
「えっ!そんな昔のこと!」って
言わないでくださいよ(笑)

画家志望の先輩の家に遊びに行った事があったんだ。
(なつかしいな〜)

その先輩の部屋にF8号の油絵があってね、
サインがきれいな水色で描いてあるんだ。
まだ乾いてなかったな〜

すごくきれいな水色で目立つんだな、サインが。

それで思わず「サインが目立ちすぎてますね」
「絵の中に使ってない色で描いてるからじゃないんですか?」って
言ってしまったんだね、先輩に。

私がまだ絵の勉強をしてない頃の話だからね。
この頃は音楽に夢中の時期でね。

言った後でシマッタと思ったけどもう遅いよね。

そしたら先輩がこう言うんだよ。
「どうしてそういう事がわかるんだ?」
「どこで絵の勉強したんだ?」って

私の言ったことが当たってたんだね。
何気なく言ったことなんだけどね。

いま思うと、これは画家を父に持って育った私に
知らず知らずのうちに身に付いた感覚だったんだな〜と。

いまごろ親父に「ありがとう」って言いたいね。
もう、いないんだけどね。




久松誠一作品 陶器「丸花生」